Author: 菟道りんたろう
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サテライトポートフォリオで積立投資している「ひふみ投信」の2024年2月次運用報告書が出ていたので定例ウオッチです。2月の騰落率は+5.19%、参考指数であるTOPIX(配当込み)の騰落率は+4.93%でした。純資産残高は2月29日段階で1754億円(前月は1675億円)、ひふみマザーファンドの純資産残高は8567億円(前月は8185億円)となりました。参考指数をアウトパフォームする堅調な運用となっています。また、2月も意外な銘柄が組み入れ1位となり、2位の銘柄との組み合わせが実に対照的です。
2月は月初こそ米国株も日本株も上値が重い状態でスタートしましたが、米国株はすぐに反発し、メガテック企業の堅調な業績もあって堅調に推移しました。日本株に対するグローバルな買いの動きも継続し、22日には1989年以来の過去最高値を更新しています。ひふみ投信はこうした大型株主導の上昇相場にはやや弱いと見られているのですが、ポートフォリオ組み合えの効果もあって参考指数をアウトパフォームしています。
そのポートフォリオですが、2月末段階の組み入れ銘柄を見ると意外なことにトヨタ自動車が1位に浮上しています。しかも5%近いウエートというのが驚き。この点に関して最高運用責任者である藤野英人さんは次のように狙いを述べています。
1)日経平均株価のPER(株価収益率)は20倍程度であるのに対してトヨタのPERは10倍であり、割安感が強いこと。日経平均株価はTOPIXに対して割高感がありますが、今後TOPIXが日経平均株価に対して追いついていく動きを示すと予想をしています(全体が上がるか下がるかは別として)。そのときの牽引はトヨタ株になる可能性が高いと考えています。2)外国人投資家がまだ日本株に対して全体では買い遅れており、今後、日本に対して投資比率を上げていく際には、トヨタを指標銘柄として組み入れる可能性が高いと考えています。3)EV関連企業はテスラをはじめとして株価が下がっており、業績が低迷しています。その裏返しで米国や欧州でハイブリッド車の売り上げが上昇しています。消費者はEVからHV(ハイブリッド車)へ移行しているのに、マーケットでの評価はそのように動いていません。4)トヨタは配当の増加や持ち合い株式の解消など資本効率の改善余地が著しくあり、それがまだ実現していません。5)新NISAなどでインデックスの買いが膨らんでおり、その場合は自動的にトヨタに5%程度継続的な買いが入ること
こうした観点から、TOPIXの組み入れ比率とほぼ同じウエートでトヨタ自動車を保有することで、少なくともトヨタを持たないことで市場平均を下回るリスクを抑えながら、そのほかの銘柄選択で市場平均を上回ろうという戦略です。実際、組み入れ2位はM&A総研ホールディングとなっており、1位と2位の銘柄が非常に対照的な組み合わせとなってます。そのほかにもDMG森精機や霞が関キャピタルといった成長期待銘柄を上位30銘柄に組み入れています。
こういった戦略が成功するかどうか、受益者としては期待しながら見守りたいと思います。