Author: 菟道りんたろう
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サテライトポートフォリオで少しだけ積立投資しているピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の2023年8月次運用報告書の定例ウオッチです。「iTrust世界株式」の8月の騰落率は+1.04%、参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は+1.61%でした。残念ながら参考指数に対してアンダーパフォームしています。そのピクテですが、ここにきて日本株の評価をオーバーウエート推奨に上方修正しました。
8月の株式相場は上旬に米国債の格付け引き下げや金利上昇への懸念に加え、欧州や中国の景況悪化などもあって下落基調で推移しました。業種別では、エネルギーとヘルスケアが上昇し、コミュニケーション・サービスは相対的に小幅な下落にとどまりましたが、公益事業、素材、生活必需品、金融などは相対的に下落率が大きくなっています。ただ、円安が進んだことでファンドの基準価額は上昇しています。為替に助けられたと言えるでしょう。
世界的に株式市場が軟調な中で、にわかに注目が高まっているのが日本株です。「iTrust」シリーズの受益者に配信される機関投資家向けレポート「Barometer」9月号によると、このほどピクテは日本株をオーバーウェート推奨に引き上げました。その理由を以下のように指摘しています。
日本は、主要先進国の中で力強い成長が見込まれる唯一の国です。ピクテは、潜在成長率を上回る成長率を予想しており、企業の一株当たりの利益成長率についても、2023年が7.2%、2024年が6.2%と、他の先進国を上回ると考えます。堅調な国内景気に加えて、円安が企業収益を下支えています。一方で、日本株式のバリュエーションは引き続き適正水準にあり、外国人投資家が、ここ数ヵ月で日本株式の資産配分比率を引き上げたとはいえ、更なる株価上昇余地が十分に残されているとみています。日本株式の配当利回りは、米国株式の配当利回りを顕著に上回っており、自社株買いについても2020年を除いて、2009年以降は増加基調です。また、日本企業は潤沢なキャッシュフローと手元資金を維持しており、多額の債務を抱える米国企業とは対照的です。
日本人は総じて日本経済や日本株に対して悲観的な見方をする人が多いのに対して、海外の機関投資家はまったく別の見方をしているというの皮肉であり、興味深くもあります。まあ、自分のことを自分がいちばんよくわかっていないというのはよくあることですから、仕方がないのかもしれません。
日本もいよいよデフレ時代からインフレ時代へと転換しそうな気配ですが、それによって日本株の動きも従来とはまったく異なるものになるのかもしれません。期待したいと思います。